◆クローズドセッション①
◇日時:令和7年9月12日(金)13:30~15:30(受付12:30~)
◇場所:丹波篠山市民センター多目的ホール
◇開会:歓迎挨拶 丹波篠山市長 酒井隆明
◇開会メッセージ 実行委員長 市野達也氏(丹波立杭陶磁器協同組合理事長・兵庫陶芸美術館副館長)
◇講演:ジョン・ビョンホン氏 慶尚国立大学 哲学学科 名誉教授
テーマ「AI時代における文化資産の創造的伝承:多様性と創造性の育成」
◇パネルディスカッション:14:40~15:25(45分)
テーマ「創造都市の文化を次世代や子どもにつなぐ人材育成」
登壇者
・ジョン・ビョンホン氏 韓国晋州市 慶尚国立大学哲学科名誉教授UCCNクラフト&フォークアートコーディネーター
・近藤健史氏 デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)シニアマネージャー
・垣内敬造氏 篠山チルドレンズミュージアム館長・兵庫教育大学教授
・三井文博氏 NPOアーキペラゴ代表理事
ファシリテーター
・佐々木雅幸氏 大阪市立大学名誉教授・大阪大学招聘教授

ジョン・ビョンホン氏
慶尚国立大学 哲学学科 名誉教授
プロフィール:鄭炳勲(ジョン・ビョンホン)博士は、韓国・晋州の慶尚国立大学哲学学科の名誉教授。同大学で学務部長や学務副学長などの要職を務め、2015年から2016年にかけて同大学の臨時学長を歴任。自身の研究分野における代表的な学術団体である韓国科学哲学学会(Korean Society for the Philosophy of Science)の会長を務めた。
科学哲学と文化哲学の分野で多くの学術的成果を挙げた。また、J.ロックの『人間知性論』(An Essay Concerning Human Understanding)の韓国語訳者でもある。現在は、文化権や美学教育を含む文化と創造性に関するテーマを研究している。
2017年から、晋州市の創造都市プロジェクトを率いる晋州市ユネスコ創造都市推進委員会の委員長、2020年から晋州市が発行する『国際工芸と民俗芸術ジャーナル』の共同編集者、2019年から、ユネスコ創造都市(工芸と民俗芸術分野)の晋州市の焦点人物を務めており、2024年5月からUCCN(ユネスコ創造都市ネットワーク)の工芸と民俗芸術サブネットワークのコーディネーターを務める。
AI時代における文化資産の創造的伝承:多様性と創造性の育成
人工知能の時代を迎える中、AIは私たちの文化活動におけるあらゆる面で重要な役割を果たすと期待されています。これには重要な問いが提起されます。AIの時代において、どのようにして文化資産を創造的に伝承できるでしょうか?どのようにして文化的多様性を促進し、創造的な人材を育成できるでしょうか?AIは多様性と創造性を育むのに役立つのか、それともAIから独立しなければならない領域はあるのでしょうか?私たちは独自に多様性と創造性を促進するために何ができるでしょうか?
本発表では、マイケル・ポラニーとポール・ファイヤアーベンドの哲学的視点を通じて、これらの問いを探求します。ポラニーの「暗黙知」の概念と、ファイヤアーベンドの「多元主義」と「方法論的自由」の主張を基に、AIが文化の伝承において持つ独自の強みと限界について議論します。
私は、AIが明示的な文化資産の保存と普及を支援し、集団の多様性を高めることができる一方で、暗黙の知識の伝達と真の創造性の育成には人間の関与が不可欠であると主張します。AIの活用と人間の独立した創造性、そして多元的なアプローチをバランスよく組み合わせることで、私たちは文化遺産を保存しつつ、活力に満ちた多様な未来を育むことができます。

近藤 健史 氏
デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)シニアマネージャー
こどもたちの“ソウゾウ(創造・想像)”から生まれる未来
「ちびっこうべ」が描く、こどものまちと神戸のこれから
子どもたちがシェフや建築家、デザイナーなどのクリエイターと出会い、本物に触れながら「まち」をつくるプロジェクト「ちびっこうべ」。デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)は、「こどものまちは、神戸の未来。」というメッセージのもと、地域や多様な専門家と協働し、この取り組みを継続しています。本発表では、こどもたちの“ソウゾウ(創造・想像)”力が育まれるプロセスと、その力が未来の創造都市をかたちづくる可能性について紹介します。

三井 文博 氏
特定非営利活動法人 アーキペラゴ 代表理事
レッジョ・エミリア・アプローチにインスパイヤされて始まった芸術士活動
2009年秋から全国初高松市で始まった、アーティストがこどもたちの現場に入って起こした数々の化学反応。行政が取り組む意義と現場の声を紹介します。

垣内 敬造 氏
篠山チルドレンズミュージアム館長 兵庫教育大学教授
チルドレンズミュージアムと“ものづくりフェスティバル”
里山の豊かな自然環境に囲まれた篠山チルドレンズミュージアムは、子どもの創造性と生きる力を育むことを目的に設立された。地域に根ざしたミュージアムとして、地域の文化を継承し、地域で子どもを育てることを目指している。
一方、近年では丹波篠山の豊かな自然環境と伝統文化に魅力を感じた工芸作家や飲食店舗らが移住してきている。同ミュージアムで開催された「ものづくりフェスティバル」は、彼らが一堂に会し、ワークショップを通じて子どもたちにものづくりの楽しさを伝えるとともに、地域の伝統文化やその魅力を継承しようとする試みであった。本発表では、このイベントについて報告する。

佐々木 雅幸 氏
大阪市立大学名誉教授・大阪大学招聘教授 丹波篠山市日本遺産・創造都市推進委員会顧問
京都大学博士(経済学)。創造都市研究の日本とアジアにおける第一人者であり、創造都市ネットワーク日本の顧問として,ユネスコ創造都市ネットワークや全国各地の創造都市の取組を支援している。2008年度から2010年度まで文化経済学会<日本>の会長を務め、現在は顧問。2010年に国際学術誌City, Culture & SocietyをElsevier社から発刊し、初代編集長を4年間務めた。金沢大学経済学部では地域経済論を担当して、石川県内各地の内発的発展を支援し、特に金沢市では市長アドバイザーとして、ユネスコ創造都市ネットワークへの加盟を推進して、創造都市推進委員会副会長を務め、2015年には日本最初のユネスコ創造都市総会を金沢市で成功させ、2020年には金沢市文化賞を受賞した。また、神戸市、名古屋市、札幌市、浜松市、丹波篠山市、山形市、岡山市等のユネスコ創造都市ネットワークへの加盟を支援して、2019年には山形市長より感謝状を受けた。大阪市立大学では大学院創造都市研究科及び都市研究プラザの立ち上げに加わり、2007年度から5年間、文部科学省グローバルCOE「文化創造と社会的包摂に向けた都市の再構築」拠点リーダーを務め、同志社大学では私立大学戦略的研究により創造経済研究センターの立ち上げに協力した。文化庁では京都分室で文化芸術創造都市振興室長、地域文化創生本部で主任研究官を務め、文化庁の京都移転と国立工芸館の金沢移転を推進した。
【受賞】
1999年 金沢市文化活動賞
2003年 日本都市学会賞 (『創造都市への挑戦』に対して)
2020年 金沢市文化賞
◆クローズドセッション②
◇日時:令和7年9月13日(土)13:30~16:30(受付13:00~)
◇場所:兵庫県立陶芸美術館セミナー室
◇講演:菅野 幸子氏 AIR Lab アーツ・プランナー/リサーチャー
テーマ「まち・ひと・アートをつなぐアーティスト・イン・レジデンス」(40分)
◇パネルディスカッション:14:10~15:10(60分)
◇テーマ「クリエイティブツーリズムとアーティスト・イン・レジデンス(AIR)」
登壇者
・タラ・プール氏 オーストラリア・バララット市 フォーカルポイント
・コモル・コンチャロエン氏 タイ・チェンマイ市 陶芸家/イベント主催者
・川葉子氏 金沢市 フォーカルポイント
・田林信哉氏 Satoyakuba 代表理事
・菅野幸子氏 AIR Lab アーツ・プランナー/リサーチャー
ファシリテーター
・竹谷多賀子氏 龍谷大学准教授

菅野 幸子 氏
AIR Lab アーツ・プランナー/リサーチャー
「まち・ひと・アートをつなぐアーティスト・イン・レジデンス」
アーティスト・イン・レジデンス(以下、AIR)は、1990年代に日本に導入されて以来、伝統工芸分野などでも多彩な展開を見せている。例えば、陶磁器産業が盛んな信楽、有田などにおいても地場産業の振興やまちづくりと連携して興味深い試みが行われている。こうして事例を検討しつつ、これからの地域におけるAIRの可能性について議論することを試みたい。

タラ・プール 氏
オーストラリア・バララット市 フォーカルポイント
タラ・プールは、オーストラリアのバララット市において、クリエイティブ産業とそのセクター開発を担う戦略スペシャリスト兼リーダーです。受賞歴のあるクリエイティブシティ戦略、パブリックアートプログラム、コミュニティアートの会場と戦略の運用管理を担当し、同市のユネスコクラフト&フォークアート創造都市への認定を主導しています。
国家間の新たな協働のあり方
世界中の創造都市は、従事者の経済的自立の確保、伝統工芸従事者の保護、そして工芸都市であることのメリットの明確な提示という、相反する課題に直面しています。バララット市は、ユネスコ工芸・民芸創造都市間で知識と技能を共有するだけでなく、協働の効果を記録し追跡するための仕組みを提供する新たな協働方法の確立を目指しています。これは、文化が単なる産業ではなく、中核的な共通財であることを示しています。
新たに提案されたプログラムは、ユネスコ工芸都市を連携させ、それぞれの技能と知識を強調し、知識、技能、そしてメリットを共有する機会を提供します。このプログラムは、アジア太平洋地域全体のユネスコ創造都市と協力し、工芸と科学を通じた異文化学習を促進し、学生と教員の交流、そして地域に根ざした研究を行う短期コースを開発することを目指しています。私たちは、現代的な思考と工芸、そして伝統的な慣習を結び付け、単なる経済的合理性や観光データ以上のものを提供することを目指しています。

コモル・コンチャロエン氏
陶芸家 パチャナ・スタジオのブランドオーナー タイ・チェンマイ
2003年 チェンマイ大学 美術学部 彫刻専攻 芸術学士号取得施。セラミックアーティストであり、PaChaNa Studioの創設者。現代的および伝統的なセラミックデザインの両分野で20年以上の経験を有している。作品は国内および国際的に展示されており、国際的なアートとクラフトのイベントに継続的に参加している。文化遺産の保存、知識の共有、新興の職人への指導に情熱を注いでいる

川 葉子氏
金沢市経済局クラフト政策推進課 フォーカルポイント
石川県金沢市出身。短期大学卒業後、日本航空株式会社に入社し、国際線客室乗務 のほか、救難訓練部教官を担当。退職後は金沢に戻り、インバウンドツアーコーディネーター、国際ビジネス学科教員を経て、2022年より金沢市のフォーカルポイントとして、ユネスコ創造都市ネットワークに携わる。

田林 信哉 氏 一般社団法人Satoyakuba 代表理事

ファシリテーター・プロフィール
竹谷 多賀子 氏 龍谷大学経営学部 准教授
龍谷大学 経営学部 准教授。同志社大学大学院嘱託講師。同志社大学創造経済研究センター 嘱託研究員。文化経済学会<日本>理事。丹波篠山市日本遺産・創造都市推進委員会委員、UCCN丹波篠山市国際会議実行委員会顧問・アドバイザー、国際交流基金「令和7年度舞台芸術国際共同制作」プロセスオブザーバー。博士(経済学)。主な著書に『クリエイティブツーリズム論:ツーリストとコミュニティの共創プロセス』(単著 水曜社 2025年)、『創造社会の都市と農村』(共著 水曜社 2019年)。主要論文に「創造農村とクリエイティブツーリズムに関する研究―丹波篠山市の挑戦―」「創造都市とクリエイティブツーリズム―金沢における文化の多様性と持続性の視点から―」など。
